『新たな始まり~52時間の船旅~』 2002-05-31
また日本出発の日が来た。
日本から中国まで52時間。
それはなが~~い一人船旅から始まる。。。。
1999年に初めて中国に足を踏み入れ始めてからもう3年と半年が経った。
あれから中国にどっぷりはまり、とにかく今までがむしゃらに突っ走ってきた。
反面教師にするマニュアルもなく必死で道を切り開いて爆風の闇の中を爆走してきた。
短かったようで長かった。短かったようで長かったような気もする。。。
そしてこれからまた新たな物語が始まろうとしている。
今回の中国行きは6回目。
しかし今までの中国滞在とはち~とわけが違う。
チケットも片道しか買っていない。
『おれるだけおる。。。』という帰国日未定の中国訪問である。
今回は何も予想できない中で一体どこまでできるだろうか?
明らかに今よりもきつい状況である事は間違い無い。
いままでのひやかし滞在とは全く意味がわけが違う。
しばらくの間は
飯も中国で。。。
糞も中国で。。。
作詩作曲も中国で。。。
楽しい事も中国で。。。
嫌な事も中国で。。。
いつ帰るかもわからず。。。
さあこれからはどんな風が吹くのか.....?
なんでもかかってきあがれ!!
ということで2002年、新たな中国活動のなが~~~~~~~~~~~~~~~~~い旅が始まった。
5月31日午前6時、友人のYの車に揺られ200・近い荷物と共に大阪から神戸に向かった。
いつも見なれた関西の景色ももうしばらく見れないとなるとちょっと寂くも感じた。
到着してから莫大な荷物を降ろしYとおわかれ。
ちょっとぐっとくるものがあった。
ところで今回の荷物はめちゃくちゃ多い。
なにせしばらくは中国の生活なだけに生活用品と自宅スタジオの機材をほとんど全部持っていかなくてはならない。
●機材の入ったダンボール8個
●夏冬服の入ったダンボール2個
●資料の本の入ったダンボール1個
●厳選したCD200枚の入ったスーツケース1個
●ギター3本ベース2本
船に手荷物として一人でこれだけ持ち込むバカは今まで僕くらいだろう。
我ながらコワイモノ知らずである。
午前10時、船にチェックインしようとしたその時。
案の定、大事件が起きた!!
中国人の船員『こんな沢山荷物は乗せれません。荷物は30・2個までです。』
伊丹谷 『は?!!!ちゃんと事前に会社に認可とりましたよ!!ちゃんと調べてくんなはれ!!』
中国人の船員『無理なものは無理です。今日の乗船は無理です。嫌なら重量オーバー
追加料金35000円を払って下さい。はい次の方~?』と中国語でつめたくあしらわれる。。。
伊丹谷 『げ?!!!ちょ~まってや~~ッ!!ほんまちゃんと調べてくれ~~~!!』
と船員と格闘すること?0分。
気がつくと荷物をバカ程持ったかたこと長髪男は周りの乗客の注目の的になっていた。
いくらワシがめたちたがりやでもこんなことで注目の的にはなりたくない。。。
何ごとかとおもったのか、しまいには奥からえらいさんまで出てくる始末。
えらいさんを捕まえて訳を一生懸命話すこと?0分。
えらいさんとしゃべっているうちになんか知らんけど彼と仲良くなる。
話の流れで彼が『僕は絵が得意だよ!!』(なんでこうなったか僕も覚えていない。。。)
するとえらいさんは僕の顔をメモ帳にさらさらと書き出した。
僕がその絵をめちゃほめると(ホンマにうまかったので)彼はテンションが上がったのか事務所から色紙と筆ペンを持ってきて僕の顔を本格的に書き出した。
『じっとしとれ!これを中国に持っていくんや!!』という彼。
?わけわからん?
とにかく絵をほめる。
すると。。。
えらいさん『荷物はもう全部持っていけ!中国側にもよろしくワシから国際電話でゆうといたる!! そんなに荷物じゃここから船までの短い距離も大変だ。オイ!!誰か!!彼の荷物を全部船の中までもっていってあげたまえ!! 彼は特別サービスだ!!いい子じゃないか!! ウム、気をつけていきたまえよ。またきみのCD買うよ!!わははは!!。。。。』
そしてえらいさんは去って行った。。。。
伊丹谷 『???ああ、ありがとうございました。。。』
それから彼の連絡が船員全員に行き渡ったのか、全員態度が変わって今度はいきなりVIP待遇!!
話はどんどん良い展開へ。。。・
結局そのえらいさんのおかげで僕は追加料金無料、フルサービスで船に乗り込む事ができた。
その上おかげで船の個室まで荷物は持たずに涼し気にゆうゆうと乗船。
う~ム、らくちん!・
しかしなんという展開。。。。
ひ汗かくわ、いきなり涼しいわ。。。
そうこれが中国である。
しかし船に入ったはいいが確実に中国の入国審査でひともんちゃくあるのでは。。。。?
いくらなんでもこの荷物を税金無しで通してくれるわけが無い。
恐。。。
まぁ今心配しても仕方がない。とにかく初の船旅を楽しむとしよう。。。。
52時間の船旅も捨てたもんじゃない。
飯はうまいしサウナはあるし、そんなに揺れないし、墜落しないし。。。
ちょいと癖になりそうである。
やっぱ個室はとって正解であった!
長時間の船旅は個室をおすすめする!!
個室ではダンボールからレコーディング機材を引っぱりだし個室は一気にプライベートスタジオへと変身していく。。。
マックをチロチロと触っていると日はあっという間に沈みあっという間に時間が経っていく。。。。
気がつけばもう52時間が経過。
ということであっという間に長い船旅は終わった。。。。
さて問題の出国である!!
はたしてこの荷物をどうやって積みおろしこの機材の出国税金はいくらとられるのか。。。?
船が港に着くと船内放送で名前が呼ばれる。
『伊丹谷良介様、フロントまで。。。』
伊丹谷『なんでっしゃろ。。。?』
船員 『Kさんがお待ちです』
伊丹谷『?』
船員 『あちらです』
伊丹谷『?』
Kさん『お~伊丹谷さんお待ちしておりました!全て話はお聞きしております。荷物はこちらですべては運ばせていただきます。手ぶらでこちらへどうぞ。。。』
Kさんはその港でのいちばんのえらいさんのようだ。
伊丹谷『?あ。どうも』
(もしやこれは日本の時のあの人の手回し?!!!)
なんてラッキー!!・彼の連絡は本当に中国まで伝わってたらしい!!
かかか神様~~~~~~・!!
Kさん『それではおからだにおきをつけて。。。!!』
伊丹谷『謝謝にん!!ふぇいたんがおしん!!』ということで別の道を通って僕は何の問題もなく天皇陛下の入国ばりに5人ほどのお手伝いと共に入国!!
X線審査を通らずに入国したのは初めてである。
これうそみたいな全部ほんまのはなし!!
いつもながらやはり恐るべし中国。。。。
こうして無事伊丹谷は中国大陸に再び足を踏み入れた。
中国の夏風はカラッと乾燥し、気温31度の熱い北京の風が伊丹谷のロンゲをなびかせる。。。。
つづく